WHIPとは?投手の安定感を測る指標|防御率との違いと目安を解説
「防御率は悪くないのに、見ていて毎回ヒヤヒヤする投手」っていますよね。走者は出すけど、なんとか失点は防ぐタイプ。逆に、淡々と三者凡退を積み重ねる投手もいる。この「ヒヤヒヤ度」を数字にしたのがWHIPです。
計算はシンプルなのに、防御率だけでは見えない投手の実像——特に「この好成績、来年も続くのか?」——を占う材料になる、通好みだけど実用的な指標です。
WHIP=(被安打+与四球)÷投球回
Walks plus Hits per Inning Pitched——「1イニングに平均何人の走者を出すか」
たとえば180回を投げて被安打150・与四球40なら、WHIPは(150+40)÷180≒1.06。1イニングにおよそ1人強の走者を許す計算です。小さいほど優秀で、走者を出さない=ピンチ自体を作らない投手ということになります。
注意点として、死球と失策による出塁は式に含まれません。「投手が自らの投球で許した出塁」に絞った指標だと考えてください。
目安の水準表
一般に言われる目安です(リーグの打高・投高で水準は上下します)。
| WHIP | 評価の目安 | イメージ |
|---|---|---|
| 1.00未満 | エース級 | 1イニングに1人も走者を出さない。リーグ上位の支配力 |
| 1.10前後 | 優秀 | ローテの柱として計算できる |
| 1.20前後 | 好投手 | 先発として十分な安定感 |
| 1.30台 | 平均前後 | 試合は作るが、ピンチの数は多め |
| 1.40超 | 苦しい | 毎回のように走者を背負う。防御率が良くても要警戒 |
防御率との違い:「結果」と「プロセス」
防御率は「9イニングあたり何点取られたか」という結果の指標です。対してWHIPは「何人走者を出したか」というプロセスの指標。この違いが効いてくるのは、シーズン途中や来季の予想をするときです。
走者を出してから失点に至るかどうかには、残塁のめぐり合わせ、味方の守備、併殺が取れたか、といった投手自身ではコントロールしきれない要素が絡みます。だから「WHIPは1.45なのに防御率2点台」という投手は、ピンチでたまたま打たれていないだけの可能性があり、続かないことが多い。逆に「WHIPは1.05なのに防御率4点台」なら、めぐり合わせが悪いだけで中身は良い、と読めます。
先発とリリーフで読み替える
WHIPの目安は、役割によって少し読み替えが必要です。
- 先発——100イニング以上のサンプルで見る数字なので信頼性が高い。上の水準表がそのまま使えます
- リリーフ(特に抑え)——1イニング全力で投げられるぶん、良い投手の数字は先発より低く出ます。勝ちパターンの投手なら1.10を切っていて当たり前、という感覚で見ると実態に合います。またイニング数が少ないため、数試合の結果で大きくブレる点にも注意
- 抑え投手の「劇場型」を数値化できる——毎回走者を出してハラハラさせるのにセーブは付く、いわゆる劇場型のクローザーは、セーブ数では分からずWHIPにはっきり表れます。「今年の抑え、大丈夫か?」の議論にはセーブ数よりWHIPです
WHIPの弱点・限界
- 出塁の「重さ」を区別しない——単打も本塁打も同じ1被安打。長打を浴びやすい投手のリスクは別途、被長打率などで見る必要があります
- 死球・失策出塁を含まない——死球の多い投手は実際のピンチの数がWHIPより多くなります
- 被安打は守備力と運の影響を受ける——味方の守備範囲が広ければ被安打は減ります。この影響まで取り除いて投手の純粋な能力を見たい場合は、三振・四球・被本塁打だけで評価するFIPという指標が使われます。WHIPはその手前の「手軽で十分実用的な」位置づけです
よくある質問
Q. WHIPとは何ですか?
A. (被安打+与四球)÷投球回で、「1イニングに何人走者を出すか」を表す投手指標です。小さいほど優秀です。
Q. 目安はどのくらいですか?
A. 一般に1.00未満でエース級、1.20前後で好投手、1.40超は苦しい水準と言われます。リリーフはこれより低めの基準で見ます。
Q. 防御率との違いは?
A. 防御率は失点という「結果」、WHIPは走者を出したという「プロセス」を測ります。運の影響が小さいぶん、WHIPの方が実力を安定して映しやすい指標です。
まとめ
WHIPは投手の「ヒヤヒヤ度」を測る物差しで、1.00未満ならエース級、1.40超なら防御率が良くても警戒——と読みます。防御率とのずれは「これから成績が動く方向」のヒントになるので、シーズン中盤のローテ談義や抑え論争で一番仕事をする指標です。